さがしてみたい東上家[住み替えてみたい編]
「うーん……」
ある日の夕食後、食器を洗っていた東上家の母、弘子はなぜか出たため息について考えていた。
その様子を見ていた弘子の夫、雄大は不思議そうに声をかけた。
「どうしたの?」
「なんだかね、このままでいいのかなって。ほら、もう子供たちも大きくなってきたし、部屋も手狭になってきてない?」
東上家の住んでいるアパートは20年近く前に借りた2DKの賃貸物件のまま。子供二人が十代後半になり、確かに雄大も狭い気がしていた。
日々の忙しさにそれを忘れていたが、そういえばそうだなぁと、のんびりと頷いた。
「設備とかも考えると、お値段は同じでもしかしたら今よりいいお部屋、借りられるんじゃない?」
「そうだなぁ。うちは電源がないし、ウォシュレットもつけられないからなぁ」
せっかちな弘子は一度気になると、すぐ調べてみなくては仕方がない質だった。
CMでよく見るスマホで部屋を探す女優やアイドルをちょっと真似してみたくなり、シュバッと音を立てる勢いでスマホを片手に身構えた。
「パターンを考えてみましょう。まず、子供たちが進学して外に部屋を借りた場合、間取りは今の2DKくらいでいいじゃない?」
「でも、子供たちも帰ってこれる部屋を用意するならこの辺の3K以上かしら」
「少し変わっているけど、知り合いのご夫婦に1ルームを二部屋、同じアパートで借りた人もいたわね」
「ちょっと待って、そういえば子供の世話もしなくてもいいんだし、ペット可もアリなんじゃない?」
「うーん、やっぱりいろいろあるもんだなぁ。今度さ、一緒に相談してみない?」
雄大はオンライン内見なんていうのもあるんだぁと呟き、とりあえず遅くなってしまったので、その日は寝ることにした。
まだ子供達とも話していないし、しっかり見てから決めることも重要だからだ。
しかし後日、ゆっくりしすぎて他の人にその日に見つけた物件を決められてしまったのはまた別の話である。
(※すでに決まってしまった物件の表示はされませんのでご注意下さい。)
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